
ビタミン(Vitamin)の由来は、vital(不可欠な)+amine(アミン:アンモニアNH3の置換体)であり、名の通り体にとって重要な栄養素です。
ビタミンは体内の代謝に関与していますが、体はビタミンを生成できないので食物として外部から摂取する必要があるのです。
なので、ビタミンが不足すると代謝不良を起こしてしまい、体の不調の元となってしまいます。
ビタミンが不足しないように、ビタミンの働きやビタミンの取り方を知っておきましょう!
今回は、補酵素(コエンザイム)の原料となるビタミンB群について解説します。
ビタミンBって?
ビタミンB群は、
ビタミンB1
ナイアシン
ビタミンB6
ビオチン
ビタミンB2
パントテン酸
葉酸
ビタミンB12
の8種類のビタミンで構成されます。
それぞれのビタミンの働きや多く含まれる食品について見ていきましょう。
ビタミンB1

ビタミンB1はチアミンと呼ばれる物質です。
働き
ビタミンB1は、ピルビン酸がアセチルCoAに変換されるクエン酸回路で必要な補酵素です。グルコースや分岐鎖アミノ酸(BCAA)の代謝においてクエン酸回路を利用するため、ビタミンB1は糖質やタンパク質の代謝に関与していると言えます。
糖質はご飯やパン、麺類などの主食やスイーツに多く含まれるので、そういったものをついつい多く食べ過ぎてしまう人は、ビタミンB1を意識しましょう。
ビタミンB2

ビタミンB2はリボフラビンとも呼ばれます。
働き
ビタミンB2は皮膚や粘膜の保全、髪や爪の細胞生成に使われます。
クエン酸回路、電子伝達系をはじめ、脂肪酸のβ酸化にも関わっているため、三大栄養素(糖質、タンパク質、脂質)の全ての代謝に関与しています。特に、脂質の代謝に重要です。
バターやチーズ、ステーキやとんかつなど脂質を多く含む食材を食べることが多い人におすすめのビタミンです。
ナイアシン(ビタミンB3)

ニコチン酸とニコチンアミドはナイアシンと呼ばれ、またトリプトファンもナイアシンと同様の働きをします。(ちなみに、ニコチン酸がナイアシンと呼ばれるのは、有害物質のニコチンと勘違いされてしまうためだそうです。)
働き
脂肪酸の生合成やステロイドホルモンの生合成、アルコールの分解など、数百種の酵素の補酵素としてとにかく様々な機能に関与しています。
極端な食事でなければ不足することは基本的にないですが、ナイアシンが不足すると「ペラグラ」と呼ばれるナイアシン欠乏症として、皮膚炎や下痢、メンタル的な機能に問題が生じます。
パントテン酸(ビタミンB5)

パントテン酸のパントテンとは、“pantos”(ギリシャ語:「どこにでもある」)に由来しています。パントテン酸は食物(生命体)の細胞にコエンザイムA(CoA)として存在するため、名前通りあらゆる食物に含まれています。
働き
パントテン酸はビタミンB1同様に糖の代謝に大きく関わり、ビタミンB2同様に脂質の代謝に関わります。また、パントテン酸はアセチルCoAとなって副腎皮質ホルモンを生成するため、抗ストレス作用があると言えます。
ビタミンB6

ビタミンB6活性を持つピリドキシンやピリドキサミン、ピリドキサールは体内に取り込まれた後、様々な反応の補酵素であるピリドキサール5′-リン酸として働きます。
働き
ピリドキサール5′-リン酸およびピリドキサミン5′-リン酸として、特にタンパク質の代謝を助けます。
また、免疫系の維持、つまり細菌やウイルス、がん細胞に対して正常な免疫反応により排除する機能の維持にも重要です。
筋トレなどで、プロテインを飲んでいるなら見逃せないビタミンです。
ビオチン(ビタミンB7)

食物中のビオチンはタンパク質と結合した形で存在し、消化の過程でタンパク質の分解、加水分解を経てビオチンとして遊離します。
働き
ビオチンはピルビン酸カルボキシラーゼとして働き、糖、脂質、アミノ酸の代謝に関与しています。
アミノ酸の代謝に関わっているため、皮膚や粘膜、爪や髪の健康の維持に必要なビタミンです。
また、アレルギー症状を抑える効果もあります。
葉酸(ビタミンB9)

葉酸はプテロイルモノグルタミン酸を骨格とする化合物で、天然にはグルタミン酸が1個~数個結合した形で存在しています。
働き
摂取された葉酸(ポリグルタミン酸型)は、消化により5-メチルテトラヒドロ葉酸(モノグルタミン酸型)まで変換されて、C1化合物の輸送担体として働きます。
ビタミンB12と共にはたらいて赤血球を産生したり、肝臓代謝を正常に機能させ、ホモシステイン量を少なく保つことで動脈硬化を防いだりする効果があります。
また、妊婦さんに葉酸不足があると、胎児の神経障害を起こす可能性があるため、妊娠中はとくに摂取したいビタミンです。
ビタミンB12

コバルトを含むシアノコバラミン、メチルコバラミン、ヒドロキソコバラミン、スルフィドコバラミン、アデノシルコバラミンはビタミンB12と呼ばれます。
働き
ビタミンB12は、腸内微生物によるメチオニン合成の補酵素に関与しています。
また、葉酸と共に赤血球の産生に関わっています。
植物性食品には含まれないビタミンのため、菜食主義者の方はサプリメントなどで補う必要があります。
ビタミンの取り方
ビタミンBは水溶性ビタミンです。
私たちの体には、過剰なビタミンBが体内に存在したとき、尿として排出するという機能が備わっているため、通常の食事では過剰摂取による症状がでることは普通ありません。
逆に言えば、私たちはビタミンBを体内に貯蔵しておくことができないため、しっかりと定期的に摂取する必要があります。

おすすめの摂り方
ビタミンBは水溶性ビタミンですので、汁物などにして汁まで飲むと、効率よく吸収ができます。
バランスのよい食事をしている方は不足することが少ないビタミンB群ですが、忙しい現代人は偏った食事になりがち。
普段の食事から、足りてなさそうなビタミンがあればサプリメントで補うというのもアリでしょう。サプリメントによる摂取でも、ビタミンBの場合は、正しく飲んでいれば(尿中に排出されるので)過剰摂取の心配もないので安心です。
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